「バズらせたいのに数字が伸びない」「グラフを開いても意味が分からない」──そんなもどかしさを抱える担当者は少なくありません。
TikTokは指標が豊富で、正しい読み方を身に付ければ改善の糸口が見えてきます。
そこで本記事では、まずはTikTokの分析指標9つを紹介し、その後にレベル別により具体的な分析方法を解説していきます。
このページでわかること
- TikTok公式アナリティクス各タブの指標と読み解き方
- 主要KPIを設定し改善アクションへつなげる手順
- 競合アカウントを外部ツールで比較するベンチマーク方法
- PythonとData Studioを組み合わせた自動レポート構築
- ライブ配信データを活かした高度なクロス分析のアイデア
TIkTokの分析指標一覧

まずは、TikTokでよく使われる分析指標についてまとめました。
保存数
保存数とは、ユーザーが後で見返すために動画を保存した回数を指します。
役立つ情報や何度も見たくなる魅力的な動画は、保存される確率が高くなります。動画が保存されるということは、視聴者にとって価値のあるコンテンツだと認識されていることを意味します。

いいね数
いいね数は、ユーザーが動画に対して「いいね」を押した総数のことです。
多くの「いいね」を獲得できるということは、動画がポジティブな反応を引き出せている証拠といえます。魅力的なコンテンツを制作することが、いいね数を増やすための重要なポイントとなります。
シェア率
シェア率は、動画が他のSNSプラットフォームに共有される頻度を表す指標です。
具体的には以下のようなプラットフォームでのシェアが含まれます:
- X(旧Twitter)
- LINE
シェア率の高い動画は、他の人にも見せたくなるような面白いコンテンツであることを示しています。シェアされることで、おすすめに表示されやすくなるメリットもあります。
視聴維持率
視聴維持率は、動画全体の長さに対して実際に視聴された割合のことを指します。
例えば、1分の動画で平均30秒視聴された場合、視聴維持率は50%となります。この数値が高いほど、動画に視聴者が引き込まれていることの証拠です。
理想的には60%以上を目指すのがベストとされています。
視聴完了率
視聴完了率は、動画を最初から最後まで視聴した人の割合を示します。
この率が高いほど、TikTokのアルゴリズムが動画をおすすめフィードに表示してくれる可能性が高まります。30%以上の視聴完了率を目標とするのがおすすめです。
コメント数
コメント数は、動画に対するユーザーからのコメント総数のことです。
コメントを促すような動画は、視聴者との結びつきが強く、エンゲージメントの高さを証明しています。視聴者がコメントしたくなるような質問を投げかけるなど、積極的なコミュニケーションを心がけることが重要です。
フォロー率
フォロー率は、動画の再生回数に対して新規フォロワーを獲得した割合を表します。
この数値が高いということは、視聴者がコンテンツに満足し、長期的な関係を築きたいと考えていることの証拠です。
フォロー率を向上させるには、質の高いコンテンツを一貫して提供し続けることが大切です。
平均視聴時間
平均視聴時間は、ユーザーが1つの動画をどの程度の時間視聴しているかを示す指標です。
この時間が長ければ長いほど、動画がユーザーの興味を引いていると評価されます。2022年3月からは動画の最大長さが3分から10分に延長されたため、より深いコンテンツを提供できるようになりました。魅力的な内容でユーザーの注目を引き続けることが大切です。
プロフィール遷移率
プロフィール遷移率は、動画からプロフィールページに移動したユーザーの割合を示します。
この指標が高いということは、ユーザーが動画の投稿者に興味を持っていることを表しており、フォロワー獲得のチャンスが広がることを意味します。
TikTokのおすすめ分析方法-データから課題を発見する-

運用を重ねると「どこを直せば伸びるのか」が見えにくくなるものです。
この章では、視聴維持率・ハッシュタグ/音源・投稿タイミングの三方向から数字を読み解き、課題をあぶり出す手順を扱います。
視聴維持率低下のボトルネック分析
離脱が集中する秒数を突き止めると修正ポイントが一目でわかります。TikTokは最後まで視聴される動画を優先表示するため、維持率が低い動画はフィードで埋もれがちです。以下の手順で該当箇所をしぼり込みましょう。
- 「コンテンツ」タブで対象動画を開き、平均視聴時間とウォッチ率を確認
- 離脱が急増している秒数をメモし、その前後5秒を重点的に再視聴
- フック不足・音声/テロップ欠落など原因を分類
- 同様のパターンを複数動画で照合し、共通する弱点を抽出
- 冒頭カット短縮や字幕追加など対策を施した動画をABテスト
谷になる秒数を起点に改善を重ねることで、平均維持率は着実に上がります。秒単位の観察が、小さな勝ち筋を積み上げる近道です。
ハッシュタグ・音源の効果測定
流行を追い掛けるだけでは方向性がぶれます。平均パフォーマンスを基準に相性を把握し、投稿の軸を固めましょう。外部ツールで直近30本のデータを出力し、次のように整理します。
分類 | 比較指標 | 確認ポイント |
---|---|---|
ハッシュタグ | 平均再生回数 | リーチ規模の大小 |
音源 | 平均視聴維持率 | フックとの親和性 |
タグ×音源 | エンゲージメント率 | 相乗効果の有無 |
成績が高いタグ・音源を「軸」と「実験枠」に分けると、試行錯誤しても数字がぶれにくくなります。季節イベントで変動するため、四半期ごとの比較が安全です。

投稿タイミング最適化のステップ
視聴者がアプリを開く瞬間に動画が届くと初速が伸び、アルゴリズムによる推薦が加速します。最適化は次の流れで進めます。
- 「フォロワー」タブで曜日別×時間帯別アクティブ率を確認
- 24時間を1時間刻みでスプレッドシートに転記し、ヒートマップを作成
- 平均より+10%以上高い時間帯を「候補帯」と定義
- 候補帯に3本ずつ投稿し、6時間後の再生回数中央値を比較
- 最良の帯に投稿を集約し、週次で再検証
アクティブ率は休日やキャンペーンで変わるため、月単位ではなく週単位で更新してください。フォロワーの行動と動画の初動を重ねることが、安定的な再生数につながります。
【高レベル】TikTokの分析のやり方
アプリ内アナリティクスだけでは把握しきれない細部を補う手段が、外部ツールと自動化フローです。本章では、より高レベルな分析のやり方を解説します。
競合アカウントのベンチマーク手法
競合を正しく比較すると、自アカウントの立ち位置と伸びしろが見えます。外部解析サービスで指標を抽出し、下表のように整理すると優先課題が一目でわかります。
指標 | 自社 | 競合A | 競合B | 差分の要因 |
---|---|---|---|---|
平均再生回数 | 12,300 | 18,900 | 15,400 | 投稿頻度・音源選択 |
視聴維持率 | 38% | 52% | 49% | 冒頭3秒の編集 |
フォロワー増加率(月) | 4.1% | 7.6% | 5.3% | シリーズ企画の有無 |
エンゲージメント率 | 6.8% | 9.2% | 8.5% | コメント返信量 |
数値の差が大きい項目を優先してテストを実施すると、限られた工数でも効果が出やすくなります。データ抽出の際は、直近30本の投稿に期間をそろえると比較精度が高まります。

Pythonでコメント感情分析を行う
コメント欄には視聴者の本音が詰まっています。自然言語処理ライブラリを用い、好意的・否定的な反応を分類すると、次の改善策が立てやすくなります。
- TikTok APIまたはスクレイピングで動画IDとコメントをCSV出力
- Pythonでpandasを読み込み、テキストを前処理(絵文字・URL削除)
- 日本語対応の感情分析モデル(例えばJupyter Notebook上でtransformers)を適用しスコアリング
- スコアをポジティブ/ニュートラル/ネガティブに分類し、動画ごとに比率を可視化
- ポジティブ比率が高いテーマを次回投稿に採用し、ネガティブ要因は修正案を練る
集計は週次で回すと変化の傾向が追いやすく、トレンドの芽を早期につかむことができます。
Data Studioで週次ダッシュボードを作る
手元のスプレッドシートやBigQueryと連携し、指標を一画面で確認できると判断が速くなります。ダッシュボードの設計例をまとめると以下のとおりです。
レポート要素 | データソース | 可視化タイプ | 管理上の狙い |
---|---|---|---|
週次KPIサマリー | スプレッドシート | スコアカード | 変動の早期発見 |
動画別パフォーマンス | BigQuery | ツリーマップ | 貢献度の把握 |
ハッシュタグ伸長率 | CSVアップロード | 折れ線グラフ | トレンド追跡 |
感情スコアヒートマップ | Python出力 | ヒートマップ | 反応の温度感確認 |
指標が増えすぎると可読性が下がるため、「行動に直結する数字」だけを選び、ページ数を抑えると運用が楽になります。
まとめ|継続的なPDCAで成果を最大化
本ガイドでは、プロアカウントの設定から公式アナリティクスの読み取り、外部ツールを用いた深掘り分析、さらに Python スクリプトと Data Studio を組み合わせた自動ダッシュボード構築まで、段階的に TikTok を分析する方法を解説しました。
数字の背景を理解しながら施策を検証する流れをつかめば、「なぜ伸びたか/伸びなかったか」を言語化でき、再生回数やフォロワー数、そして最終的なコンバージョンまでも継続的に改善していけます。
実務に落とし込む際は、まず三つの主要 KPI(例:平均視聴維持率、エンゲージメント率、フォロワー増加率)を定点観測し、週次で可視化したダッシュボードをチェックすると良いでしょう
また、数値が目標値から外れたときは、今回紹介したボトルネック分析・ハッシュタグ検証・タイミング実験などの手順を優先順位に沿って試し、翌週の数字で変化を確かめる。この小さな検証と改善を繰り返すサイクルこそが TikTok 運用の強みになります。
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